自律神経の乱れ
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自律神経の乱れ

自律神経は、循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整するために、つねに働き続けている神経です。体の活動時に活発になる交感神経と、安静時に活発になる副交感神経があります。その2つのバランスをそこなうのが「自律神経の乱れ」です。不規則な生活やストレスによって自律神経の働きが乱れると、体の器官にさまざまな不調が現われます。

久手堅 司 先生

監修

久手堅 司 先生 (くでけんつかさ) (せたがや内科・神経内科クリニック 院長)

自律神経の乱れが引き起こす疾患 倦怠感やめまい、不眠などさまざまな症状も

※以下の疾患は、医師の診断が必要です。心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

自律神経失調症

精神的なストレスや過労が引き金となって自律神経が乱れ、心や体に不調があらわれた状態です。全身の倦怠感、多汗、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠、吐き気などの症状があらわれます。あらわれる症状は人によって大きく違うのが特徴です。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。ストレス

機能性ディスペプシア

ストレスや生活習慣などから自律神経がバランスを崩して胃の働きが乱れている状態です。検査をしても胃に異常が見られないにも関わらず、胃が痛む、胃がもたれる、すぐにお腹が一杯になるなどの胃腸症状を引き起こします。

過敏性腸症候群

腸のぜん動運動に異常が起こり、腹痛をともなう慢性的な下痢や便秘などを引き起こします。ときに下痢と便秘が交互に起こることもあります。検査で調べても、目に見える異常が認められないのが特徴です。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 過敏性腸症候群

メニエール病

内耳のリンパ液に異常が生じ、自分や周囲がぐるぐる回るめまいと、どちらか一方の耳にだけ起きる耳鳴り、そして難聴の3つが同時に起きる病気です。多くの場合、強い吐き気や嘔吐をともないます。はっきりとした原因がわかっているわけではありませんが、ストレスが発症に関連していると考えられています。命に関わる疾患ではありませんが、放置すると耳鳴り・難聴が進行します。

過換気症候群(過呼吸症候群)

過剰な精神的ストレスが引き金となって、突然浅く速い呼吸を繰り返す疾患です。動悸や酸欠状態のような息苦しさを感じます。さらに呼吸のしすぎによって血液中の二酸化炭素が過度に減少することで、めまい、手足のしびれや筋肉のこわばりなどが生じます。息苦しさから呼吸をしようとして、さらに呼吸のスピードが速まる悪循環に陥ることもあります。

※上記の疾患は医師の診断が必要です。心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

自律神経が乱れる原因はストレス、不規則な生活、疾患などがある

精神的、身体的なストレス

人間関係、仕事のプレッシャーなどの悩みや不安による精神的なストレス、過労、怪我、さらには騒音や温度の変化なども身体的なストレスとなって自律神経の乱れの主な原因になります。そのストレスが過剰になると、交感神経と副交感神経のバランス、つまり自律神経のバランスが乱れます。

昼夜逆転などの不規則な生活

私たちの体は一定の生体リズムに従って働いています。慢性的な寝不足や昼夜逆転、不規則な食生活など不摂生を続けていると、生体リズムが狂って自律神経のバランスを乱す原因になります。

疾患が原因となる自律神経の乱れ

更年期障害は自律神経の乱れを引き起こす代表的な疾患です。更年期障害では、女性ホルモンの分泌が急激に減ることで自律神経が乱れ、突然のほてりやのぼせ、頭痛、めまいなどさまざまな不調があらわれます。

自律神経を整えるにはストレスを抱え込まないような対処を

意識して休息時間をつくり休養する

仕事が一段落したときにブレイクタイムをとり、仕事場から離れて外の空気に触れるなどリフレッシュするようにしましょう。また、1日の終わりにはリラックスタイムを作り心身の回復を、そして1週間の終わりの休日には仕事を忘れて休息するようにしましょう。

精神的なストレスを抱え込まない

ストレスを抱え込んで心の疲労を招かないようにすることが大切です。ものごとを否定的に捉えず、立ち止まっていままでの考え方を見直したり、気分転換などでリフレッシュすると効果があります。

気持ちを落ち着けてリラックスした生活をする

「きっとやれる」と自己暗示をかける、つらいことも必ず時間が解決してくれることを忘れない、嫌なことを引きずらないなど、心の持ち方を変えてみましょう。そして、焦りを捨てて、完璧さを求めずマイペースでもっとゆったりした気持ちで物事に対処する方法を身につけるようにしましょう。

筋弛緩法等で心身をリラックスさせる

肩や腕など部分的な筋肉に力を入れたまま、10秒間キープし、スッと力を抜いて15〜20秒間リラックスする手軽な緊張回復法があります。ストレスがかかると、体や気持ちに力が入りますが、体の力を抜くことで気持ちもリラックスできます。力を抜くときには一気にだらーっとさせるのがコツです。また心身のリラックスには、心地の良い音楽や好きな香りでアロマテラピーを楽しむことなども効果があります。

病院で診察を受ける

原因不明の体調不良が続くときは、早めに病院へ行きましょう。様々な症状がある場合や診療科に迷う場合はかかりつけ医への相談が適しています。頭痛や食欲不振なら一般内科、耳鳴りがする場合は耳鼻科、肩こりがひどい場合は整形外科、精神的なストレスが強い場合は心療内科や精神科など、症状に合わせて受診するのもよいでしょう。症状の裏に重大な病気が隠れている場合がありますので、くれぐれも自己診断は控えましょう。

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食事や睡眠、運動などのセルフケアで自律神経の乱れを予防

精神的なストレスに強くなる

会社、家庭、学校などにおける人間関係による逃れられないストレスとも、うまくつきあっていくことが大切です。気長に考える、前向きに考える、楽観的にとらえる、自分に自信を持つなど、気持ちをコントロールしてストレスに強くなりましょう。問題を一人で抱え込んでしまわず、誰かに相談するなどの上手な解消法を身に付けることも大切です。

心身をリラックスさせる方法を見つける

心地の良い音楽を聴くと、リラックス状態が得られます。また、ぬるめのお湯にゆったりと時間をかけてつかることや、アロマセラピーを取り入れることなど、自分なりのリラックス法を見つけるようにしましょう。また、肩や腕にぎゅっと力を入れた後、フッと体の力を抜くようにすると、心身ともにリラックスする効果があります。仕事の合間に試してみましょう。

ライフスタイルを見直す

生活を構成する食事、睡眠、休養、労働(勉強)、運動の5つが、毎日規則正しく行われていると生体リズムも順調に回ります。どんなに忙しくても、1日3回の食事を楽しく味わうゆとりを持ちましょう。睡眠時間を十分にとり、食事時間を一定にし、おかずの数を増やすなど食生活の質を高め、適度な休養や運動を心がけましょう。また、お酒の飲み過ぎは、過度に交感神経を刺激し、自律神経が乱れがちになります。適量を守って飲むようにしましょう。さらに、乱れた生活を正し、リズムを取り戻すには、早寝早起きの習慣をつけることも大切です。

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適度な運動をする

スポーツは、運動不足の解消はもちろん、汗を流すことで気分がすっきりして倦怠感がなくなり、精神的な充実感も得られます。また、定期的に運動を行うことで生活のリズムも作れます。ウォーキングなどマイペースでできる運動を無理のない範囲で始めて、運動習慣を身につけましょう。

カルシウムを積極的にとる

カルシウムには、神経の働きの緊張を鎮め、精神的なイライラを抑える効果があります。カルシウムは、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、干しえび、わかさぎなどの小魚、小松菜などの野菜に多く含まれていますので、積極的に食べるようにするといいでしょう。
また、ビタミンB群は神経の働きに関わっており、自律神経を整えるので、積極的にとるとよいでしょう。特に神経伝達物質の生成に関与するビタミンB6はかつおやバナナなどに含まれているので、おすすめです。

■参考文献