みぞおちに痛みを感じ、吐き気や嘔吐をともなうようなときは、急性胃炎や逆流性食道炎が考えられます。また、みぞおちがキリキリ、シクシクと痛み、とくに食後に痛むときは胃潰瘍、空腹時に痛むときは十二指腸潰瘍が疑われます。また、急性虫垂炎の初期には、みぞおちに痛みを感じます。胃腸の疾患以外では、急性膵炎でもみぞおちの中央から左側にかけて激しい痛みがあらわれます。さらに、その痛みが背中や肩にまで及ぶこともあります。
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右手側のみぞおち(図②)に痛みが起こる疾患
みぞおちの右側が痛んだときに、まず考えられるのが胆嚢炎、胆石症、胆管炎などの疾患です。とくに胆石症では発作性の激しい腹痛が起こり、さらには右の背中や胸、肩が同時に痛むこともあります。また、腎臓の中の組織である腎盂(じんう)が炎症を起こす腎盂腎炎でも、みぞおちを始め腰背部に鈍痛を感じます。
左手側のみぞおち(図➂)に痛みが起こる疾患
左の肋骨の下辺りの痛みは、主に急性膵炎などの膵臓の疾患が考えられます。急性膵炎は、みぞおちの左側から中央にかけて痛み、さらには左胸や左背部、左肩の方にまで痛みが広がることが大きな特徴です。他には、胃の上部に起こった胃潰瘍や急性胃炎などでもみぞおちの左側に痛みを感じることがあります。
おへその周辺(図④)に痛みが起こる疾患
おへそ周辺の痛みの大部分は急性小腸炎、急性大腸炎、潰瘍性大腸炎などの腸の疾患が原因になりますが、腎臓や尿管にカルシウムの結石ができる腎結石、尿管結石も疑われます。とくに尿管結石では、冷や汗をかくような激しい痛みが主に明け方に起こります。腎結石の痛みは鈍痛で、おへその周辺と背中に痛みがあらわれます。
下腹部(図⑤)に痛みが起こる疾患
下腹部が痛むときは、痛み方の他にあらわれている症状を確認してみましょう。下痢が何週間も続いたり、下痢と便秘を繰り返すようなときは過敏性腸症候群が疑われます。排尿時に痛みがあらわれ、頻尿や残尿感をともなうときは前立腺炎や膀胱炎などの疾患が考えられます。
右手側の下腹部(図⑥)に痛みが起こる疾患
盲腸炎としても知られる虫垂炎は、腹部右下周辺に激しい痛みを感じる疾患です。発症数時間はみぞおちに痛みがあらわれ、痛みが増しながら段々と右下に移動します。その間痛みは治まることなく持続し、痛みが右下腹部に行きつくころには、患部が化膿し、胃や肝臓などの臓器を包む腹膜も刺激するようになって、体を動かすのも大変なほど強く痛むようになります。
左手側の下腹部(図⑦)に痛みが起こる疾患
急性大腸炎、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群などの大腸の疾患が主なものですが、女性の場合下腹部に子宮があるため、生理痛で多くは左下腹部に痛みを感じます。その他、子宮内膜症や卵管炎、子宮がんなどの疾患が痛みの原因になります。また、膀胱炎、尿道炎などの疾患でも左下腹部に痛みを感じます。
腹部全体(図⑧)に痛みが起こる疾患
腹部全体に感じる激しい痛みは、原因として腸閉塞(イレウス)や急性腹膜炎、腸間膜動脈血栓症などの疾患が疑われます。その他、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の進行によって胃に穴があいたり、子宮外妊娠の破裂によっても腹部全体に激痛があらわれます。これらの疾患では、ショック症状をともなうような激しい痛みが起こることもあるので、注意が必要です。比較的軽い痛みは過敏性腸症候群が疑われます。
※以上の疾患は、医師の診断が必要です。
上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。